日本では税金の一部が「科学研究費助成事業」(通称、科研費)の名の下に科学研究に投資されています。科学研究の中には当然(?)、プラセボ効果をテーマとした研究も含まれています。
つまり、国民が納めた税金(のごくごく一部)によってプラセボ効果研究が進められてきましたし、現在進行形で研究が進展しています。
こうした研究の成果がいつの日か社会に還元される…と期待しつつ、これまでにどのような研究が為され、これからどのような成果が見出されるかを2019年9月時点で確認しておきたい。
調べ方
対象
科研費は税金で賄われているため、原則的に金額や使途、成果が公開されてデータベース化されています。
科学研究費助成事業データベース
https://kaken.nii.ac.jp/ja/index/
検索キーワード
プラセボ効果関連の検索キーワードとして、いくつか挙げてみます。
キーワード | ヒット数(2019-09-12) |
---|---|
プラセボ | 547 |
プラシーボ | 30 |
偽薬 | 70 |
ノセボ | 103 |
プラセボ効果 | 33 |
プラシーボ効果 | 8 |
偽薬効果 | 2 |
ノセボ効果 | 2 |
「プラセボ」と「プラシーボ」、「偽薬」など、表記ゆれの問題があります。また「プラセボ」自体を研究テーマとしていなくとも「プラセボ対照」などの用語が用いられて検索にヒットするなどの問題も。
さらには「ノセボ」で検索すると「新生児のセボフルラン暴露」がヒットするなど問題がありますが、こちらはNOT検索により排除できそう。
絞り込み
高々1,000件程度なのでタイトルを全て目視で確認して判断することも可能ですが、ここは意識を低くして「効果」が入った検索キーワードでヒットしたものを対象とします。
また「プラセボ効果を除くため」などネガティブな言及があるもの、タイトルから判断して関連の薄いものを除きます。
研究課題の「キーワード」
科研費データベースには「検索キーワード」ではなく、研究課題に付された「キーワード」項目があります。今回はこれを絞り込みの対象とせず、今後の参考とすることにします。
たとえば医学研究により特定の治療法に効果がないと判明した場合、「プラセボ効果でしたね、残念」といった風に「プラセボ効果」のキーワードが付加される場合がありました。
検索結果
各検索キーワードによるフリーワード検索の結果から、プラセボ効果自体をテーマとした研究をピックアップ。漏れは未チェック。重複は削除。
プラセボ効果
- プラセボ効果の個体間変動要因:プラセボームとパーソナリティ解析による個別薬物療法
- 肩こりへの鍼は本当に効くのか?-ダブルブラインド・プラセボ対照ランダム化臨床試験
- 小動物脳機能画像解析法を用いたプラセボ効果の神経生物学的機序の解明
- 鍼のプラセボ対照ブラインド化臨床試験に潜むプラセボ効果とノセボ効果の検証
- プラセボ効果の個体間変動要因の解析と効果的カウンセリングへの応用
- 光の生理心理作用におけるプラセボ効果の検証
- 高齢者の活動余命生活を支援する会話型知的ヘルスケア情報システム
- プラセボ効果の解析と新規服薬カウンセリング療法への展開
- 神経難病のリハビリテーションにおけるプラセボ効果の検討とその治療的活用
- 鍼はプラセボか?―世界初のダブルブラインド鍼を使って鍼の臨床効果とその機序に迫る
- 疼痛コントロールのトップダウン機構とその脆弱性に関する研究
プラシーボ効果
別途、記載内容の理解が困難(ながら、関係があるかも)な事例。
偽薬効果
ノセボ効果
追記
キーワード検索では漏れていた研究がありましたので追記しておきます。
まとめ
本記事ではプラセボ効果関連研究のピックアップのみを目的としました。個々の研究内容や成果については今後別記事で紹介します。
研究期間ごとにまとめた記事:科研費でプラセボ効果を研究する研究機関・研究者