「認知症カフェ」という言葉はご存知でしょうか?
「高齢者サロン」とは一味違う響きの「認知症カフェ」。
厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略(通称:新オレンジプラン)」の中で認知症の介護者の負担軽減策として掲げた項目の中で言及される「認知症カフェ」。
【認知症カフェ等の設置】(目標新設)
厚生労働省『新オレンジプラン概要 ~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~』
新プラン: 2018(平成30)年度からすべての市町村に配置される認知症地域支援推進員等の企画により、地域の実情に応じ実施
今後ますます話題にされ、身近なものになる「認知症カフェ」について知りたいと思ったら読んでおくべき一冊の本、『認知症カフェハンドブック』を紹介します。
認知症カフェ・ハンドブック
「認知症カフェ」というのは機能を表すいささか直接的な名前であり、他にも下記のように呼ばれたりしているようです。
- アルツハイマーカフェ
- メモリーカフェ
- 物忘れカフェ
厳密にはそれぞれ異なる取組みたいですが、細かい違いはさておき。
また「アルツハイマー」や「ものわすれ」のような直截的な表現を避け、下記のように称している取り組みが上記の書籍では紹介されています。
- オレンジカフェ
- オレンジサロン
- れもんカフェ
どちらかと言えばそこに訪れる認知症の本人や家族のためではなく、認知症カフェを新たに開設し継続的に運営していこうとする方向けの本であり、編著・監訳者の武地一氏(京都大学医学部付属病院)が実際に京都で実施しているカフェの取り組みを紹介し「これからの認知症カフェ」の叩き台として実践的に使える本になっています。
若年性認知症、初期認知症の受け皿として
かつて痴呆症と称され、現在では認知症の名が用いられるこの症状も、一般にその存在が周知されつつあるとはいえ、まだまだ理解が及んでいるとは言い難い現状があります。
特に若年で発症される認知症や、本人はもちろん家族でさえ認知症とは考えていない早期の認知症においては、どこに行って誰と話せば問題の解決あるいは共有が可能なのかほとんど知られていません。
認知症カフェは常時介護が必要な重度の認知症に至る前段階、若年認知症や初期認知症の本人や家族にとっての受け皿となることが期待されています。
認知症は、治療の対象ではなくなる
さきの「新オレンジプラン」では、以下のことが謳われています。
新オレンジプランの基本的考え方
認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。
認知症を治療・治癒すべき(=医療の対象とすべき・一時的にせよ社会的に排除すべき)「病気」であるとは考えず、人生あるいは老いの一過程で見られるごくありふれた変化の一部として社会的に受け止めていこうとする考え方と解釈できるでしょう。
その背景には、これ以上医療費をはじめとする社会保障費を負担する余裕が国にはないことも一部あるでしょうが、何でもかんでも「異常」の一言で医療の対象を広げ続けてきた反省もあるのではないかと思います。
カフェという普通の、一般の居場所がある。
ただし、現時点では常時開店する街中のカフェなどとは異なり、月に数回程度の定期開催に限られるようです(もちろん、そうした取り組みにも需要があり、開催の意義があります)。
実際にカフェへ来る人の課題について
認知症カフェの運営者にとっての課題は『認知症カフェハンドブック』中で適宜述べられています。
資金調達面での問題を自治体が主催することで解決(負担を公平化)したり、助成金や補助金の名目で解決したりすることが今後ますます進展してゆくでしょう。
逆に、認知症カフェへ参加する方にとっての課題はなんでしょうか?
認知症カフェの存在意義として認知症になっても社会から必要とされていることを実感する場を提供することが挙げられていますので、一般的なカフェの「お客様」として扱うよりは何らかの仕事を一緒にするパートナーとして、運営の一端を担う者としての参加も想定されます。
ただ、「新しい取り組みを始める」というそのこと自体が既に認知症を発症した方にとって障害となり参加をためらわせるかもしれません。特にもともと社交的ではない方、自身の認知機能が低下し認知症と言われる状況であることが理解できない、理解したくない方にとってはなおさら。
知らないところへ行くことが不安、という感情は認知症の有無にかかわらず多くの人が日常的に抱く感覚ではないでしょうか。
そんな時には、プラセボ(偽薬)食品をうまく使うことで解決できるかもしれません。
プラセボ食品について
プラセボ製薬の「プラセプラス」はプラセボ、すなわち本物の偽薬です。
医薬品のような有効成分を含まない普通の食品、言うなればお菓子です。ただ見ようによっては薬っぽく見えなくもないですが、あくまで食品です。
意志を引き出す偽薬
通常は認知症の高齢者などの「薬の飲みすぎ・飲みたがり」対策としてお使いいただいていますが、認知症カフェなどの新たな取り組みに参加しようとする意志を引き出し、後押しするためにも使えるのではないかと思います。
そんな風に誘い出してみたり。
そんな風に不安の払拭を試みたり。
あるいは、認知症カフェ内での話題にも良いかもしれません。
そんな風に役割を持ってもらったり。
認知症をはじめとする介護の問題は、超高齢化する日本社会の避けては通れない課題となっています。少しでも負担を軽くする策をプラセボ(偽薬)によって提供することができれば、これ以上うれしいことはありません。