ラムネみたいなお菓子に見える、だましの薬もどき?それ「偽薬」です。

ラムネっぽい、あれ…

言葉は悪いけれど、高齢者とかをだまして安心してもらうために使う薬モドキがあるじゃない、あの…

と明瞭なコトバになりきらない“あれ”や“あの”や“それ”をお探しの皆様、それ、実は専門用語で「偽薬」や「プラセボ」あるいは「プラセボ」と言います。

ラムネのようなお薬、お薬のようなラムネをお探しの方に、プラセボ製薬の偽薬「プラセプラス」を紹介します。

と、その前に。

ラムネの効用

あの頃を思い出す懐かしのお菓子、ラムネ。懐古趣味に彩られたお菓子が、今注目を浴びているそうで。

今ではコンビニやスーパーに行けば、レジ横の棚にたくさん積まれたラムネ菓子を見ることができます。

その多くは刺激を与えるミントと果実などのフレーバーが配合されたおいしいラムネ菓子。

現代社会を生きる私たちにとって食品やお菓子の第一義的な機能がおいしさであることは論を俟たないでしょうが、それ以上の何かがあれば人はそれをたくさん買って話題にもしたくなっちゃうようです。

原材料に注目すると

なかでもラムネはその懐かしさやトップ・メーカーによる粋なパッケージの作用も相まって、オトナも好むお菓子としての地位を確立しています。

でも、それだけじゃありません。

ラムネ菓子開発において選択されたある原材料が、特定の場面で有用だとして新たな需要をも生み出しているのです。

その原材料とは、ブドウ糖

もっとも基本的な単糖であるブドウ糖は、脳のほぼ唯一のエネルギー源であり、身体中の多くの細胞もまたブドウ糖を利用して生命活動を維持しています。このブドウ糖、血液中の濃度が「血糖値」と呼ばれていることから分かる通り、ヒトの身体の状態を表す最も基本的な性質を基礎づけてもいます。

酒飲みとブドウ糖

実はこのブドウ糖、飲酒と相性が良いようで。

酔いが回ったその時、肝臓はアルコール分解の仕事に精を出す一方、糖新生によって血糖値を維持するお仕事がおろそかになってしまうそうです。

体内で必要分のブドウ糖が作れなくなると、細胞はうまく働くことができません。

悪酔いを引き起こし、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドもまた細胞の働きによって解毒するしかありませんが、ブドウ糖の不足状態ではフルパワーで仕事をこなすことができなくなってしまいます。

この時、ブドウ糖を主成分とするラムネ菓子を口にすれば、不足分を補って細胞が働きやすい環境を維持してくれるというわけです。

つまり、飲酒後にラムネ菓子を食べれば、二日酔いや倦怠感を軽減することになる…。

もし本当なら、二日酔いでひどい経験をしたことのある全ての酒飲みのオトナにとってこれほど心強いお菓子もありません。その効用にはプラセボ効果が絡んでいるという指摘もありますが、試してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。

ちなみに、「ぶどう糖」を主原料とせず、「砂糖」を主原料とするラムネ菓子もあります。「ぶどう糖」を主原料とするラムネ菓子の代表的なモノは、森永製菓さんのあのラムネ。

コンビニやスーパーなど、どこでも手に入るかと。

錠菓といふものあり

さてこのラムネ菓子、一般的には「錠菓」に分類されるお菓子です。

Wikipediaによりますと、

錠菓(じょうか)は、成型された錠剤型固形菓子の総称である。タブレット菓子とも呼ばれる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8C%A0%E8%8F%93

とのこと。

錠菓の歴史

森永製菓さんが1973年からラムネ菓子を発売しているそう。

またラムネ菓子自体は1881年(明治14年)に邦人初の製造、1890年(明治23年)に固形ラムネの販売開始、今もあるものとしては1950年(昭和25年)の「クッピーラムネ」(カクダイ製菓)があるそうで。

また、二日酔い防止仮説の主要因となったブドウ糖については、商品開発過程でラムネ飲料の食感を再現するために選定されたとも。

病院用ラムネ?

極々基本的な栄養素であるブドウ糖についてはその効果も明々白々、であるがゆえに恐らくはその効能・効果を臨床的に科学的な妥当性を保持しつつ調べた研究はないのではないかと思われます。

しかしながら固形のラムネ菓子は、血糖を維持するという目的から院内処方がなされていたようです。

ただ、別の使い方も広く知られていたようで。

高齢者介護の問題

医薬品の効用への期待は、ヒトに欲望を生み出します。欲望は時に、現実を超えた信念を生み出します。

それ(クスリ)さえあれば、私は確実に救われる

客観的に見れば依存症に見える薬への執着は、その人自身にとっては疑う事なき真実に他なりません。

長年医薬品を使用し続けてきたお年寄り、特に認知症の方などではこうした強い信念を言葉などによって是正することが難しい場合があります。

ただ、本質的には薬効成分を求めていないことがあります。効果の源たる化学物質よりはむしろ、薬に見えるそれを実際に服用することこそが重要であり、それで欲求が治まり済んでしまう場合もあるのです。

このとき活躍していたのが、錠剤に見える錠菓、すなわちラムネ菓子だったのです。

ラムネ菓子と偽薬

つまり、ラムネ菓子は本物の薬ではないニセ薬(偽薬、似せ薬)としても活用されていました。ラムネはブドウ糖や砂糖が主成分であり、効果があると言っても血糖値の上昇効果という、基本的には害の少ないものです。

もちろん今でも使われていますし、例えば高齢者介護をされている介護施設や在宅介護中のご家庭などでは第一選択となるでしょう。

ただ、今では介護用の偽薬そのものも手に入れることができます。

プラセボ製薬の「プラセプラス」です。

主成分はブドウ糖ではありませんが、「還元麦芽糖」と呼ばれる糖アルコールでやはり甘みを持っています。

偽薬の利点

錠剤型の薬については、「飲み込む」ことが必要です。基本的には「噛んでも良いですよ」と医師か薬剤師に指示された医薬品以外を噛んだり割ったりしてはいけません。

長年に渡り薬を飲みなれた高齢者の方も多いようですが、加齢に伴う嚥下機能低下によって誤嚥、そして肺炎にまでつながるため老人医療の現場で度々問題視されています。

その点、若干大き目のラムネ菓子よりは偽薬を用いた方が飲み込み易くなっているのではないかと考えられます。

またラムネ飲料の味・食感に似せると言う当初の目論みを忠実に果たす固形ラムネ菓子の多くには刺激成分が加えられていますが、偽薬にはそれも含まれません。

価格や包装形態、味覚等の折り合いがつけば、偽薬そのものである「プラセプラス」には利用してみる価値があるのではないでしょうか?

もちろん表現上は「偽薬」となっていますが、扱いとしてはもっぱら食品成分のみを含む「食品」に該当します。

ちなみに

「プラセプラス」の主成分は還元麦芽糖(マルチトール)です。ダイエットシュガーとも称され、低カロリーの甘味料として様々な食品に添加されています。

一部は分解されてブドウ糖となりラムネ菓子と同様に血糖値を上昇させるようですが、時間的にも作用強度的にも緩やかで穏やかです。

このことは、先に述べた「酒のみのお供」としての機能が弱いことを意味するかもしれません(気分爽快現象の主要因がプラセボ効果であれば、変わらないかもしれません)。

一方、血糖値を日常的に意識しなければならない糖尿病の方にとっては血糖値を急上昇させることなく偽薬的役割を担うことができる利点と捉えることができるでしょう。

またマルチトールに代表される糖アルコールは大量摂取によって緩下作用を示すことが知られています。要するに、いっぱい食べるとお腹が下ってしまうということです。

「大量」がどの程度のものとなるかは個々人の体質や体調、あるいは腸内細菌叢などに左右されると考えられます。ご利用に際してはご注意を。