歪んぢまった健康観

健康観の変遷に関して。下図をご覧ください。

医薬品以前

近代西洋医学に基づく医薬品が存在しない時代、民間療法的なくすりはあったにせよ、病気と健康の境界は曖昧ながら直接的に接していました。

次に、医薬品が登場します。

医薬品の登場

医薬品の登場は、病気概念の縮小(≒健康概念の拡大)をもたらしました。

一時的に病的状態になったとしても、医薬品によって病気が克服され健康が回復するのであれば、克服可能な病的状態は健康の範疇にあるとも言えるためです。

マンガやドラマで『JIN -仁-』を観た方なら、ペニシリンによって救われた江戸時代の患者さんを思い起こしていただければわかりやすいと思います。

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医薬品の登場から1990年代までは、「医学の勝利!科学の勝利!」な時代です。

病気の原因、あるいは病的状態のメカニズムが科学的に解明され、それに対処する方法が次々と創出されました。

しかし、幸せな時代は終わりを告げてしまいました。

医薬品産業が抱える問題

病気に対して、有効な医薬品をなかなか見出せない。そんな時代がやってきます。

がんや自己免疫疾患や精神病など、時代を彩る病気の数々に対して有効な手立てを打ち立てられないまま、トライ&エラーを繰り返した挙句、「こりゃダメかもしんね」と諦念がはびこるようになってしまいました。

そうした状況で、医薬品による健康観への侵略が始まります。

現代マーケティング理論はがん患者の5年生存率に対して何ら貢献しませんが、製薬企業の5年生存率ならばある種のリスクと引き換えに上昇させることを約束します。

やれ「市場創出」だ、「ニーズの掘り起こし」だ、やってることは上図の紫色の矢印で示したことです。

つまり、病気克服という当初の目的を果たせなくなった医薬品産業は、健康の概念を歪めることで市場を拡大しようとするという見立てが可能なわけです。

世界は面白いですね。実に世界は面白い。

健全なだけでは、面白さは半減かそれ以下になってしまうでしょう。
『白い巨塔』をDVDで観て、そう思いました。

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