プラセボが提供する『おみやげみっつ、たこみっつ』

注意:本記事は映画『おおかみこどもの雨と雪』に関するネタバレを含みます。

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おまじないの有効性

『おおかみこどもの雨と雪』の象徴的なシーンがこちら。

「おみやげみっつ、たこみっつ(トントン)」

親から子へ伝えられるおまじないには、物語上の重要な意味が込められていました。

おまじないが無効になる時

「チェーホフの銃」的観点からすれば、そのおまじないはある場面で効かなくならなければならず、事実、そのおまじないが効かない場面は『おおかみこどもの雨と雪』における物語上の転換点となっています。

もちろんそのことは、おまじないが無意味なことを示しているのではありません。

おまじないは効くと信じていたし実際にこれまでは効果があったのに、一番大事な場面で、つまりそのおまじないが絶対に効いてほしい場面で効かなくなってしまうことにより、物語として盛り上がるようになっているというだけのことです。

後付け解説としては、「物語を盛り上げるために、おまじないの効かない場面が設定された」と説明できるでしょう。

おまじないの中身

『おおかみこどもの雨と雪』におけるおまじないには、以下の2点を含んでいます。

  1. 口頭で唱えられる「おみやげみっつ、たこみっつ」という、特段の意味を持たない呪文
  2. 胸に指を当て、トントン、とたたく動作

宗教が提供する実践的行為

おまじないや祈り・礼拝などのおまじないに類するものには、呪文と動作がいつだってセットになっていますし、日常的な宗教行為の多くはこれらの実践と言えます。

坐禅なんかは違うので、とても興味深いのですけれども。

さらにこれらのおまじない達には、世界史上稀なる天才を除いて、自分自身の外部からもたらされるという特徴があります。

あるいは、自分よりも高位の人から伝承されることが、そのおまじないの信憑性を担保するのだと言えるかもしれません。

『おおかみこどもの雨と雪』においては、雨や雪にとっての花さんも高位の人物にあたります。

また、おまじないなどの日常的な反復はそれが習慣的行動となるに従いますますその意味内容を喪っていくが、正にそのことゆえにその効果を発揮する(&実践しない者には如何な分からない)という発想は、『フラニーとズーイ』のフラニーが紹介する農夫の物語にも見られるとおり、神秘的で魅力的ではあります。

非宗教家のためのおまじない

ただ残念ながら、多くに人にとって手軽に実践可能な宗教的色彩を帯びないおまじないとして、「緊張するときは手に人と3回書いて飲み込む」といったその場しのぎ的なものしか現代日本社会には言い伝えられておりません。

おまじないの効果は、先の例からすると、(意味のない)呪文と簡単な動作を同時に、かつ習慣的に行うことで初めて現れてくるのではないかと思います。

「ひと、ひと、ひと」とつぶやきながら手に人を3回書き、飲み込むことを毎日続ければ、イザという時におまじないとしての効果が現れるかもしれません…。

そんなん信じられへんし、やってられん?それでしたら…

おまじないなんて全然信じられないあなたに

おまじないの代替品として、プラセボは如何でしょうか?

当記事でプラセボの使用法の詳細を述べることはしませんが、プラセボ効果には非宗教的おまじないの効果よりもちょっとだけ真実味があるように個人的には思うのですけれども、如何なもんでしょう。

試してみる価値くらいは、あると思います。

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雨と雪の役割交換

おまじないが効かなかったことに大きなショックを受けた雪は、その後ヒトとして生きていくことを決心します。幼い頃からずっとオオカミであることを誇ってきた雪が、ヒトとして生きてゆく。

一方、オオカミであることに疑問を抱いているように見えた雨は、徐々にヒト性を捨てていきます。

ここで見られる役割交換(パート・スワッピング)はこの物語のダイナミズムとして有効に、あるいは過剰に働いてマヂ泣きしてしまいます。

まだ観てない?

それはいけない。絶対に見るべきだ。

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「おみやげみっつ、たこみっつ」の由来は?

以下のサイトで「おみやげみっつ、たこみっつ」の由来が解説されています。

「おみやげみっつ たこみっつ」は昭和6年に発表された作詞・西條八十、作曲・中山晋平の曲『おみやげ三つ』が由来となっている。

『おみやげみっつ たこみっつ(おおかみこどもの雨と雪)の由来・意味 – タネタン』

曲の歌詞だったんですね。面白い。