2018年度の介護報酬改定・制度改革では各世代「負担増」の見通し

2016年2月17日、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会が開かれ、介護の必要性が比較的低い「軽度者」と認定された高齢者が使うサービスについて見直す考えを示したとの報道がなされました。

ニュースソースを辿って

ニュースの詳細を情報源まで辿ってみたいなと思って厚生労働省のホームページへ。部会資料については下記サイトより参照できました。

『介護保険部会審議会資料|厚生労働省』

ただ、ニュースサイトの記事内容を示すような具体的な記載のある資料は見当たりません。検討事項案として「資料2」が提示されている程度。

『社会保障審議会 (介護保険部会)|厚生労働省』

上記サイトには「議事録」や「資料」へのリンクに加えて「開催案内」がありまして、傍聴したい方は期日までにご連絡くださいとのことでしたので、報道機関は傍聴による情報収集をされているものと思われます。

今後、「議事録」も整備されるかと。

審議会部会開催 →(議論)→ 傍聴 → 記事執筆 → ウェブサイト掲載 → 閲覧

ニュース記事が会議後数時間でアップされているところを見ると、速報性に賭ける報道機関の意気込みを窺い知ることができますね。ありがたく参照させていただきます。

(追記)1月21日時点で今回の審議内容に先駆けて報道がなされていたようです。

未決定でも、既に確定的

少子高齢化は確定路線

さて、今回は2018年度(平成30年度)の介護報酬改定に向けた議論の第一歩に当たるかと思われます。2015年度の改定に引き続き、3年に一度の見直しをするわけですが目下の課題は以下の通り。

  1. 地域包括ケアシステムの推進
  2. 介護保険制度の持続可能性の確保

本記事では後者の「持続可能性」にスポットライトを当てていますのでご承知おきください。ここで言う「持続可能性の確保」とは、現在の介護保険の枠組みに手を加えつつ、負担を先送りすることなく資金調達し必要な介護サービスの提供を可能とする試みです。

「持続可能性の確保」の明らかな答え・道筋はまだ見出すことが出来ていませんし、制度設計を変更すると何が起こるか正確に予測することも不可能ですので、社会保障制度のすべてにおいて少なからず「社会実験」の側面を伴っています。

ただ、日本国の人口動態に関してはこの先数十年に渡り予測が可能となっており、急速な少子高齢化が進展することはご存知の通り。

したがって、この急速な少子高齢化に対応することが介護保険制度を含む社会保障制度の持続可能性の確保の要諦になります。

負担増は確定路線

少子高齢化は、少ない若年者で大勢の高齢者を支える社会への移行を意味しますので、一人一人の負担減という制度改革はあり得ません。負担増は確定路線であり、問題は「どれだけ負担増すればいいのか」、あるいは「どれだけ負担増が可能なのか」が分からないことです。

したがって、上述の通り「社会実験」を通じて最適解を見出すしかなく(最適解が存在するとして…)、2018年度の介護報酬改定、介護保険制度改革においては実行すべき様々な案が出てきました。

負担増の具体案

下図をご覧ください。

ここで解決すべき課題は、天秤のバランスをとることです。

保険料アップ

増え続ける保険給付(右のお皿;介護保険者からの支払い)に対して、左のお皿にはバランスよく保険料の重しをのせ続けなければなりません。現在の平均月額5,514円は、2025年度には月額8,165円まで増額されると推計されています。

10年で月額2,651円の増加。

この負担を現在の第2号被保険者(40歳以上65歳未満)で負担するのではなく、20代、30代も被保険者に加えて一人当たりの負担を軽減しようという案が出ています。

ただし、2018年度で40歳未満の方にとっては「先輩方が払ってなかった保険料を払うことになる」という極めて受け入れがたい変更となるため、「実現は厳しい」と厚労省担当者は述べているとのこと。

また2016年夏に行われる予定の参議院議員選挙において争点になると与党に不利となる可能性があることから、具体的な議論は選挙後に再開されるとの観測も。もちろん、野党がより望ましい代替案を提示できる訳ではないと思われますが。

しかしよくよく考えてみれば、介護保険給付の財政はその5割を公費(国、地方自治体の負担)に頼っており、その元は税収もしくは公債であることから、間接的には既に全世代が保険料を負担しており、もっといえば「先送り」によって未出生世代の未来の税収まで当て込んでいるという「持続不可能制度」ですので、負担の明確化という意味では受け入れる余地があるようにも思われます。

若年層が介護保険料負担を受け容れなければ、さらなる消費増税待ったなし!でしょう。制度上の成立条件が、実生活・実経済の成立条件と乖離している可能性は否定できませんが…。

2016年度の現役世代保険料負担

2016年2月24日のニュース記事の見出しに『現役世代の介護保険料、過去最高に 厚労省が推計』が掲げられていました。

介護保険制度が出来上がった2000年度に一人当たり2629円/月だったものが、5,352円/月となり、上記制度改正がなければさらに伸びる見込みです。

給付額ダウン

一方、重すぎる重しが乗っかる給付面(右のお皿)では、いくつかの重しを取り去る案が提示されています。要介護度1~2の「軽度者」に対するサービスを削るのはどうか、削らざるを得ないのではないか、と。

(「身体介護」ではなく)高齢者の自宅を訪問して買い物や掃除といった家事を代行する「生活援助」を原則自己負担とし、福祉用具や住宅改修費用の全額自己負担化も検討するそうな。

こちらは高齢者の負担増となり、サービス切り捨てが及ぼす影響が懸念されています。

もちろん「切り捨て」などの表現がなされているわけではなく、「市町村による地域支援事業化」、それも「介護保険に頼らない、ボランティアの有効活用による生活援助事業」への移行と捉えられていますが、果たして。

制度設計上「可能」な条件が実生活・実務面でも可能か否かはやはり分かりませんので、給付額のダウンも「社会実験」の様相を帯びることになるでしょう。

追記(2016.10)

マスコミ各所で報道されている通り、2017年度の介護保険法改正および2018年度の介護報酬改定において、「生活援助」に関する自己負担化の議論は先送りされることとなりました。

無論、何も変えないのでは天秤は傾いたままバランスを欠くことになります。

そこで、バランスを取るために介護報酬すなわち介護事業を実施する事業者の報酬を下げることを検討するようです

制度改革はお早めに

現状がどれほどうまく回っていないように見えても、あるいは上手く回っているように見えても、数年~十数年後に「あの時はとっても恵まれていたな」とか「あの時に改革していれば」と回顧する可能性は大いにあります。

それは、現状の介護保険制度を含む社会保障制度が「負担先送り」に頼った持続可能性のない制度だからです。世代間の負担を拡大させることで維持されている制度だからです。

そうした現状認識からしか「負担増」という(見た目上の)制度“改悪”を受け容れることはできません。

受け容れるなら、なるべく早めに…。

法改正日程

冒頭の日程表に記載できておりませんが、本記事で示した「案」が実際の「制度」となるには、介護保険法の改正が必要となり、2017年に改正が予定されています。

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