隆盛を極めるサプリメント・健康食品業界をターゲットに、Web広告業界もガシガシと営業を掛けてきます
特に月末に営業勧誘電話が多い気がするのは、ノルマ達成のプレッシャーでもあるのでしょうか…?
ちょっと待て。
「プラセプラス」は認知症を改善も予防もしないし、何らかの栄養成分や健康成分を補給するという意味でのサプリメント(栄養補助食品)でもない。
そもそも、認知症改善効果をサプリメントが謳うのは薬事法に抵触するはずで、かなりリスキーな言い回しをするテレアポ・スクリプトだと思われます(上記は実体験に基づく創作です)。
調べてみた
認知症は脳の病気だ!いや、脳の血管の病気だ!などなど、様々な言説があり、それをサポートする成分としてサプリメントが開発されています。
試みに「認知症 サプリ」とGoogle検索してみると、検索結果の上部、右部にズラリ広告が並びます。
「ココナッツオイルで…」と話題の成分を謳ってみたり、「DHA・EPAでサラサラ…」と定番成分を推してみたり。自社開発の脳老化予防サプリを飲みながら?各社が知恵をって販売に力を入れています。
売り文句
面白いのはやはり、薬事法の規制によって効果を謳えないというサプリメントの宿命に対応するため捻り出された売り文句。
「聡明な毎日をサポート」したり、「パッとひらめき続けたい方に」買ってもらおうと躍起になったりしています。ポジティブなイメージを提供するこの発想力の源は、やはり当のサプリメントにあるのでしょう。めっちゃ冴えてるぅ!って思います。
また「物忘れやうっかりが気になり始めたら」早めに飲んでもらおうと、不安を覚える方向けにサポート成分をアピールする手法も定番。うっかり自社製品を忘れられる前に、ちゃっかりお金を落としてもらおうと頑張っています。
もちろん、一言も効果を謳ったりはしていません。
健康成分
青魚にたっぷりと含まれて健康にイイっぽいDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、最近流行りの亜麻仁油やえごまに含まれるα-リノレン酸などのオメガ3脂肪酸は、サラサラ成分として有名です。
また米ぬかに含まれるフェルラ酸がアルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβの蓄積をどうこうするといった話も聞かれます。
幾度となく現れては消えるポリフェノール類のあれやこれやもまた、健康成分として紹介されます。レスベラトロール、ピクノジェノール…。
珍しどころではホスファチジルコリンや水素なんかにも注目が集まっているそうで。
サプリ・マニアなら、下手な薬学部生よりこうした成分とその作用の知識が豊富かもしれません。
翻って、医薬品では?
これまでに開発された抗認知症薬は、その症状の進行を抑える効果があると認められたに過ぎず、「改善」・「予防」いずれの効果もないようです。
認知症の根本治療薬の開発は上手くいっておらず、大元となる仮説、すなわち異形たんぱく質の蓄積を主原因とする「アミロイド仮説」、「タウ仮説」が間違っているのではないかと疑われるほど。
認知症に効くと大きな声で主張され、それを誰もが認める薬効成分は、現在のところ判明しておりません。
薬以外の方法で
そもそも認知症の改善をサプリメントや医薬品の成分に求めることが間違いであるのかもしれません。
適切なコミュニケーション、適度な運動、タップリめの水分摂取によって認知機能の低下を補ったり、抑えたりする方向での研究も進められています。
クスリもサプリも
薬もサプリメントも、それを服用・摂取する人にとっては価値あるものです。現在抱いている将来の不安を少しでも和らげてくれるのなら、それはホンモノの価値と言えるでしょう。
医薬品開発に向けた認知症病態研究の成果を見れば、今あるくすりやサプリメントは将来の健康を保証するものではなく、現在の健康を補助するものと考えておいた方が良さそうです。
逆に言えば、売り文句は過度に信用するなと。
プラセボ(偽薬)にできること
さて話は冒頭に戻ります。なぜプラセボ食品である「プラセプラス」に“認知症改善効果のあるサプリメントの紹介サイト”への掲載(広告出稿?)のお声がかかったのでしょうか?
プラセボとは、薬のような形をしているものの、有効成分やサプリメント成分を含まない似せ薬です。“認知症改善効果のあるサプリメントの紹介サイト”に掲載される謂われはどこにもありません。
薬の飲みすぎ、飲みたがりに
プラセボ製薬では、「プラセプラス」を介護用偽薬として販売しています。
薬を飲んだことを忘れてしまう高齢者、不安が強くなんども薬を求められるお年寄り、周囲のみんなが飲んでいるのだから自分も飲みたいとおっしゃるご老人に安心して飲んで頂ける偽薬としてお使いいただいております。
そこには、効果もへったくれもありません。ただただ無があるだけです…でも本当に?
プラセボ効果
実は、薬には有効成分が体内で作用して効果を現すと同時に、薬を飲むという行為そのものが安心をもたらすというプラセボ効果があるとされています。
「まだ薬を飲んでいない!」と思い込んでいる方の不安を解消し、「眠れないから眠剤おくれ」と何度も訴えられる方に「睡眠薬を飲んだ」という想いを提供し、みんなと一緒に薬を飲む行為を楽しむ(?)。
プラセボがそうした価値を生み出す。ただ無があるだけではありません(※プラセボに不安解消、睡眠導入、享楽を促す効果はありません。念為)。
さらに、ゼロになるプラセボ効果
また、睡眠薬を過量に摂取することで引き起こされる認知機能低下・過鎮静などの副作用は、転倒リスクや夜間失禁の増加をもたらします。
この場合、睡眠薬をプラセボ(偽薬)に切り替えることで副作用を抑えることができます。
過剰摂取に伴う医薬品のマイナス効果をゼロにする。このこともまた、プラセボの大きな価値だと考えています。
改善も軽減も予防もしない
プラセボ製薬のプラセボ食品「プラセプラス」は、認知症を忌むべき病として捉え開発されたものではありません。
今そこにある現実として捉え、生活上問題があるのなら上手く解決する方法を見つけようとする過程で開発された商品です。
営業勧誘電話をお掛けになる場合、「御社のプラセボ食品『プラセプラス』につきまして、弊社で作成する“認知症介護で愛用されるアイデア商品の紹介サイト”に掲載させていただきたく…」などと言って頂ければ、実りあるお話ができるかもしれません。
あるいは、当方の思いもよらない独創的なトーク・スクリプトでご勧誘頂ければ(「聡明な毎日をサポート」してくれる「パッとひらめき続けたい方」向けのサプリをオススメしておきます)、話に飛び付くかもしれません。
お電話、メール、お待ちしております。