認知症BPSDの服薬管理に悩む介護者のための偽薬

認知症の方の行動を、以前は「問題行動」として本人の痴ほう症状・ぼけによる困った行動だと捉える考え方が主流でした。

介護観の変化

でも、今はそうした介護観が少しずつ変わりつつあります。

不安からくる行動

認知症の方がとられる多くの行動は、周囲の不適切な環境によって増幅した「不安」を解消しよう、対処しようとして為されるものと解釈されています。

ですから現在では「問題行動」ではなく、「認知症の行動と心理の特徴」という意味でBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dimentia)と呼ばれています。

BPSD(ビーピーエスディー)とは?

BPSDは「認知症に伴う行動障害と精神症状」とも言われ、かつての「周辺症状」と同様の意味に解されることも多いのですが、すこし違った面もあります。

中核症状と周辺症状

これまでは「中核症状」と「周辺症状」に分類していました。

  • 中核症状:脳の変性や脳の異常を原因とする症状
  • 周辺症状:社会的規範を逸脱するような行動面での症状

しかし、現実にはそうした「中核症状」と「周辺症状」のいずれであるかを決定することが難しかったり、身体が常時傾いたりする「身体症状」など分類から外れるパターンもありました。

そこで最近では、「中核症状と周辺症状」という分類から、「中核症状、BPSD、身体症状」という3つに分けて表現することがあります。

BPSD

BPSDは脳細胞の変性などが原因で起こる場合もありますが、その多くは以下のような事柄が引き金となって起こります。

  • ケアの方法のまずさ
  • 環境の問題
  • 薬剤の副作用
  • 体調不良

BPSDには、行動に関わるものがあります。

  • 徘徊
  • 食行動異常
  • 暴言や暴力
  • 睡眠障害

また、精神に関わるものもあります。

  • 抑うつ
  • 妄想
  • 幻覚

そうしたBPSDの多くはケアの方法を改善し、生活を快適に維持することで改善可能ですので、中核症状とBPSDをしっかり見分けて介護ケアの方法を考えることが大切になります。

BPSDの原因には「不安」のあることが多い

BPSDと呼ばれる認知症の方によく見られる行動をつぶさに観察してみると、何らかの不安を解消しようとしていることが多いものです。

例えば、認知症高齢者の方が頻繁に薬を飲みたがる場合。

薬は、安心のもと

認知症とは関係なく日本の高齢者の多くが各種症状に対応した複数の薬を服用しています。

  • 高血圧
  • 高脂血症
  • 関節痛
  • 抑うつ症状
  • 睡眠障害

そうした薬の服用が安心感をもたらしていることは想像に難くないでしょう。

薬が生み出す、不安

認知症高齢者の方にとっても、それは同じこと。

あの薬を飲んでいないと悪くなってしまうんじゃないか?

という不安が、頻繁な薬の飲みたがりの元となっています。

特に認知症の方では中核症状によって記憶障害がおこり、既に薬を飲んだことも忘れがちで何度飲んでも飲みたがることがよくあります。

STEP.1
不安感
飲まないといけない薬を飲んでいない(飲んだことは忘れている)
STEP.2
周囲の無理解
介護者が薬を出してくれない
STEP.3
被害妄想
介護者がウソをついて意地悪しようとしている
STEP.4
不安解消への行動
暴言や暴力などのBPSD
STEP.5
問題解決
無理矢理に薬を手に入れ、体調悪化不安の解消

そうした「不安」はいずれも適切なケアの工夫によって解消・軽減できるものであり、介護者がBPSDに悩んでいるなら介護される方の「不安」に目を向けることで改善することも可能です。

飲みたがりに対応するための偽薬

プラセボ製薬株式会社では、介護者の方が適切に「薬の飲みたがり」に対処するための偽薬を販売しています。

偽薬はプラセボとも呼ばれ、文字通り「ニセのおくすり」です。偽薬には薬効成分が含まれていないため、医薬品ではありません(※食品です)。

認知症高齢者と偽薬

認知症の方の頻繁な求めに応じてその度ごとに医療用医薬品を与えていては、薬効成分の過剰摂取による副作用など問題が起こることがあります。

認知症高齢者の「薬の飲みたがり」には介護職、介護家族による適切な服薬管理が欠かせません。もしこうしたBPSDの例にお悩みでしたら、プラセボ製薬の「プラセプラス」をぜひ一度お試しください。

「プラセプラス」は、既に多くの介護ご家族様、介護施設様にご利用いただいております。

BPSD対応は臨機応変に

本記事は『認知症サポートハンドブック 認知症の世界へようこそ―家族、医師、看護師、介護士などサポートチームづくりのために』を参考とさせていただきました。

認知症の方のBPSDには臨機応変な対応が欠かせません。その人ごとの人生史に基づく、その人なりの「不安」とその解消法が存在しているため、マニュアル化できない部分がどうしても残ってしまうからです。

ご家族にも、介護の知恵

ただ家族が在宅介護をされる場合でも、介護福祉施設で介護職がケア対応する場合にも、これまでの介護現場で得られた知見を最大限活用することが初期対応をスムーズにすることは間違いありません。

日常の様々な行為、習慣の中で最適な回答を見つけることが、介護する側、介護される側、双方のストレスを軽減します。

知識としてそうした基礎的な対処の方法を持っておくと、どこかできっと役に立つ知恵となると思います。

介護でストレスを感じたら

介護を十全に行う心構えには自らの労力・時間・お金を費やす覚悟が伴います。しかし、思った通り十全に充分に介護をできる人はほとんどいません。いや、皆無と言っても良いでしょう。

特定の誰かに犠牲を強いる生活を長く続けることはできません。

理想的な介護とは言えずとも、それなりに受容できる状況を目指すこと。ストレスフリーとはいかずとも、せめてストレスとの上手い付き合い方を身に着けること。

それは現状と比較すれば介護される側への負担が増すかもしれませんが、介護する側が先に参ってしまっては元も子もありません。

積極的に「介護者保護主義」の立場に立つことを検討してみましょう。