職場のメンタルヘルス対策には偽薬使用と音響効果と電球交換?

生産性向上には、従業員の精神状態が健やかであることが欠かせません。

職場のメンタルヘルス

職場のメンタルヘルスに関するニュースが度々聞かれます。

民間企業のみならず、公務員でもメンタルヘルスの不調による休職者は増えているようです。

企業における二大精神疾患はうつ病と適応傷害といわれている。2011年の調査では、メンタルヘルスの不調が原因で休職・退職した労働者がいる企業は25.8%にものぼる。

『従業員のメンタルヘルス対策|企業法務ナビ』

もしあなたが職場のメンタルヘルス対策をご担当され、既に何らかのケアを講じているにもかかわらず効果が見られないのならば、別の対策を検討してみるべきかもしれません。

ストレスチェック義務化!

2015年12月、従業員が自身のメンタル不調を把握し、働く環境の改善につなげる「ストレスチェック」制度が始まります。

従業員50人以上の事業所に年1回の実施が義務づけられるとのこと。

制度の期待と不安

メンタルヘルスの不調により従業員が休職・退職したり自殺したりする例が増えていることから、労働安全衛生法が改正され長時間労働やストレスの高い職場の改善につながることが期待されていますが、効果には疑問符も?

「時間内に仕事が処理しきれない」など仕事のコト、「気がはりつめている」とか「何をするのも面倒だ」など心理面に関して従業員自身が各種アンケート項目に答えたものが数値化され、ヤバい段階にくると「産業医と面接!」とか「病院、行け!」と促されるそう。

一応、回答・面接結果が無断で会社側へ知らせられることの無いよう従業員保護策が講じられているそうですが、果たして上手くいくだろうか。

どこの職場でも最大のストレスは人間関係に関する問題と相場は決まっていますので、人間関係に関するアンケートもあるのでしょうか?

『改正労働安全衛生法のポイント(ストレスチェック制度関連)』という厚生労働省のサイトで確認できますね。

本音を探るというよりは、サラッと表面を撫でる類の質問見たいです。よか…った?

実効性を検討すべし

厚生労働省が抱く労働者像、労働者心理像は結構ピュアでナイーブなものであるように思われます。

正面玄関から入り込むことにこだわって、大事な要件を済ませることができない。そんな気がします。

今後数年間でうつ病など精神疾患を理由とする離職、仕事を理由とした自殺が減少するか否か。

それが出来なければ事務負担、すなわち仕事とストレスを増やすこの制度自体の存否が問われるべきかと思います。

制度創設の経緯

制度創設の経緯から、具体案の創出、残された検討課題等を把握するには、厚生労働省の検討会議事録を時系列に読み込むのが最善策でしょう。

ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会 »

ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会 »

また成書もありますのでご参考まで

プラセボ効果の活用

さて、職場のメンタルヘルス担当者が従業員から相談を受けたとして、どのような具体的な対策が可能でしょうか?

医師の診断がない場合

医師による明確な診断がある場合、休職を薦めるなど明確な行動指針があるため対策に迷うことはありません。

しかし、メンタルヘルスに関する問題を抱えているように見えても医師による診断がない場合、あるいは当人が通院を拒む場合、対処に困ることがあります。

コミュニケーションの問題

コミュニケーションにおける最大の問題は、意思が伝わったと錯覚することだ。

ジョージ・バーナード・ショー

適切なコミュニケートとは、こちらの望みどおりに相手を動かすことでも、正しさを納得させることでもありません。相手の自発的な応答を得ることです。

ならばコミュニケーションの一環としてプラセボ(偽薬)の使用を薦めてみるのはいかがでしょうか?

プラセボの活用

プラセボには有効成分が含まれていないため何らかの症状が回復することを積極的に望むことはできませんが、気分を変える・気分の変化に自覚的になるといったことならばできる可能性があります。

そこで、メンタルヘルスケアが必要と考えられる人に例えば2週間程度プラセボを使用してもらい、使用前後での気分の変化を尋ねてみるなどコミュニケーションの材料として使用すれば適切な対処法を見出すことができるかもしれません。

自分自身に関する何らかの変化について言及することは、当人が自分の状態をより正確に把握することに繋がるからです。

プラセボが抑うつ状態等を積極的に治癒させることを望むことはできませんが、コミュニケーションを深化させ、早期の対処につながる可能性があります。

音楽にもこだわる

真面目な日本人像は、職場で音楽を流すことを良しとしないかもしれません。

しかしコンビニ等で立ち読みしてみればわかるように、音楽がかかっていても集中することが可能です。

また掛かっている音楽によっては集中を乱してくるものもあり、研究のし甲斐があるでしょう。

コンビニエンスストア、大型書店あるいはカフェなどなど、音楽を有効に使い居心地の良さを演出している場所は読書がはかどります。

逆に、宣伝やアピールのうるさいお店では集中が続かないはず。

あなたの職場に音楽を流すとしたら、どんなジャンルのものが適切でしょうか?

照明にもこだわる

さらに、職場の照明には気を使っていますか?

普段あまり気にかけないような照明が案外と心理蓄積的な効果を有するものです。

色の判定等にこだわる職場でなければ、特に冬季においてあたたかいと感じられる照明色である「電球色」が有効になるかもしれません。

職場・仕事場環境はオトやヒカリによって演出することができるという視点は、もっと多くの日本企業が学ぶべきでしょう。

既に始めている会社との差は開く一方です。