「LINE疲れ」に「スクール・カースト」。
学校内での悩み・不安は進路だけに留まらず、既にありふれたものとなったケータイやスマホ、SNSが繋ぎすぎる交友関係、序列意識の固定化など多岐に渡ります。
保健室の先生が児童の家庭や学生生活に積極的に介入するというのは難しいでしょうが、実のところ、できることは「何もしない」をしてあげることぐらいで、それで十分なように思われます。
養護教諭は現代的お仕事
社会の縮図としての学校
「○○障害」など診断名がつかずとも、不安が強く学校生活に支障が出る生徒さんに対処することが養護教諭(保健室の先生)に求められています。
子どもたちが集まる場では、社会の縮図として問題が先鋭化することがあります。現代的な諸問題の如実な例が学校内で観察されることも。
そういう意味では、養護教諭の仕事は非常に現代的なお仕事の一つと言えるでしょう。
対処に自信を
既にあなたが対処法を確立されている場合、自信を持って生徒さんと接してあげてください。
不安という得体の知れないものを小さく見せてくれるあなたの存在が、その子にとって非常に大きなものであることは想像に難くありません。
ただ万が一、不安を抱く生徒の対処に困っておられるようでしたら、プラセボ(偽薬)の使いどころがあるかもしれません。
不安と言葉
カタチのない不安
不安は概念であって実体のないものです。誰かの頭の中にしか存在しません。
ただ、だからこそ、その大きさが必要以上に大きく見えてしまうことがあるのです。
ちょっとしたきっかけで子供本人にはとても対処できないほど急激に大きくなってしまうこともあります。
そんな時、周囲の大人がその子供に対してしてやれることはあまり多くありません。
カタチのない言葉
不安を抱える子供をやさしい言葉によって諭すことが難しいのは、言葉そのものが概念を扱う実体のないものだからです。
あなたが投げかける気休めの言葉は、不安という怪物を追っ払うには少々掴みどころがなさすぎるのかもしれません。
それならばいっそ、あなたが目の前の子どもに届けたい気休めそのものに目に見えるカタチを与えてみるのはいかがでしょうか?
実体的プラセボ
カタチのあるプラセボ
プラセボは、気休めという概念にカタチを与えて直接手渡すことができます。
言葉には大きな力がある一方、それを直接見ることができないという欠点があります。
特に、既に不安の中にいる子供にとって言葉はただのヒラヒラとした言の葉(ことのは)となってしまうかもしれません。
カタチを与えるプラセボ
そんな時、やさしい言葉がけと同時にプラセボを手渡してあげてみてはいかがでしょうか。
プラセボ自体はただの気休めかもしれません。
しかし、それは目に見える形で手渡され、飲み込むことさえできてしまう気休めなのです。
不安を抱える子供に対してあなたができることは気休めを与えることでしかなく、それで十分なように思います。
プラセボ効果を求めない
プラセボと言えば、臨床試験等で聞かれる「プラセボ効果」が思い浮かぶかもしれません。
「そうか、思い込みで起こっている不安をプラセボ効果で散らしてやればよいのか」、と。
残念ながら確実にプラセボ効果を起こしてやる手段は存在しませんが、特に気を揉む必要もありません。
なぜなら、本記事で述べている気休めはプラセボ効果を期待するものとは異なるためです。
「なにもしない」をする対処
プラセボ効果を求める積極性ではなく、何もしないをするという消極性をこそ採り入れて。
実のところ「何もしない」をすることがある場面では非常に重要であり、不安の中にいる子供さんに対してできることはこの「何もしない」をしてやることでしかありません。
積極的介入によって正しい道へ導くという父性的な指導法から、消極的介入で寄り添う姿勢を明らかにする母性的な対応法へ。
プラセボの活用は、対応法の幅をきっと広げてくれるはず。
上野千鶴子さんの回答
2016年9月、新聞紙面に掲載された中学校教師からの相談とそれに対する社会学者・上野千鶴子さんの回答がインターネット上で話題になっていました。
中学校教師の「保健室に通うやっかいな子」という相談に対しての回答が素晴らしいと話題に – Togetterまとめ
もちろんプラセボ活用の実例というわけではありませんが、方向性としては非常に参考になる回答ではないでしょうか。ご参考まで。
安易な診断と治療は避けるべき?
投薬の前にできること
子供に対しても「不安障害」や「パニック障害」などの診断と、抗不安薬、抗うつ薬などの投薬が行われる場合があるようです。
日常生活に支障をきたすほどの不安を抱える子供に対して専門医が必要と見なす治療であれば、それを否定しようというものではありません。
しかし、積極的医療介入の前に、接し方を変えることによる不安の軽減を試みることが一つの選択肢としてあってもいいように思います。
プラセボにできること
プラセボ製薬が販売する「プラセプラス」は、食品として開発された偽薬です。ある意味ではお菓子と呼んでも差し支えないでしょう。
高齢者の薬の飲みたがりや飲み過ぎに適切に対応するために介護者さんにお使いいただいていますが、もちろん子供さんが飲んでも大丈夫。飲み過ぎて害をなす薬効成分等は一切含まれていません。
錠剤を飲み込めない場合にはいくらか工夫を要しますが、錠剤を飲み込めるようであれば「プラセプラス」を食品としてそのままお使いいただけます。
何もしない、話を聴く、寄り添う。言葉にすれば簡単なことも、いざ実行することは案外難しいものです。プラセボがそのきっかけとなれば幸いです。
ご都合を鑑みて、ご利用をご検討下さい。