睡眠障害、不眠。
ねむりについての不満を解消するための商品開発が日々進められています。
最近では寝る時に身に付ける肌着・寝間着に注目が集まり、機能開発が進められ、向上した性能が喧伝されています。
しかし、眠ることについて悩むことなど一切なかった子供時代あるいは学生時代に身に付けた習慣、「寝るときは、○○でしょ」の思い込みが我々を捉えて離しません。
スッポンポンの裸でぐっすり快眠できているのなら何も問題はありませんが、もし睡眠について何らかのお悩みをお持ちでしたら、思い切って肌着を変えることで解決可能かもしれません。
秋なのに、冬なのに
「なのに」という逆接の接続詞は結構面白く
「○○なのに暑い 寝苦しい」
といった類の検索キーワードでの流入が多々あります。
「なのに」が示す暗黙の前提
冬(だから気温・室温が低く、それゆえ布団内の温度も下がりやすいはず)なのに、暑い。
「なのに」という接続詞には、その人が自明であると考える前提が隠れています。しかし、その前提自体が間違っているために逆接の働きをなす。
冬(って言っても、あたしのパッションは年中無休!)だから、暑い。
「だから」という順接の接続詞で繋がれる意外なコトバたちが訳の分からない仮定や前提を導くことと好対照を為します。
つまり(?)、当然と考えている仮定・前提をこそ疑うべし!
ここでは、布団内の温度や就寝時の温感・冷感は、周囲の室温や気温とはあまり関係がないのではないか?と考えてみることが問題解決の第一歩となるでしょう。
基本戦略
暑くて眠れない、熱感と寝汗で夜中に目が覚める、朝方に異常な喉の渇きを感じる。
そうした悩みを解決するための睡眠時着衣に関する基本戦略はコレに尽きます。
布団に入ったとき、肌寒く感じるくらいが丁度良い!
就寝時にすでにヌクヌクだったり、蒲団の冷たさをすら感じられない重装備だとマズイわけです。
どうしてでしょうか?
それは、睡眠時には体温を下げなければならないという生理学的な理由があるためです。さらに先程記載したように、気温・室温が低いからと言って、布団内の温度が下がりやすいわけでもないためです。
暑い時、何が起こっているのか?
眠っている間に暑くなり寝苦しさを感じる。この時、どのようなことが起こっているのでしょうか?
実は、入眠時に捨てられた体温を衣服と寝具(掛布団、敷布団、毛布、枕、マットレス、ベッド)が拾い上げ、睡眠中の我々を保温してくれます。
しかし、熱を捨て体温を下げた我々の身体にとって、この保温力が過剰だと以下のような関係性ができてしまいます。
体温 < 布団内温度
外気温や室内温度に関係なく、この関係性が生じただけで睡眠時の暑さは逃れようもなく、寝苦しさとなって私たちをより快適な睡眠へと導く些か不親切な道標となります。
私たちにできることは、この寝苦しさに対して素直になることです。
熱の移動、水蒸気の移動
基本的に、空気は熱を伝えにくい媒体です。従って、体熱の移動には汗を原材料とする水蒸気が用いられます。
等式:体温を下げる=汗・水蒸気を介して熱を捨てる
布団やベッドは空気の層をつくり、熱の移動を抑える装置です。衣服もまた、そのような働きをします。空気は熱を伝えにくい媒体ですので、水蒸気を上手く逃がせるか否かが寝具や寝間着の性能を決定するといっても過言ではないでしょう。
冬山の岩場で眠ったり熱を迅速かつ過剰に奪う鉄板の上で眠ったりする人はそう多くないでしょうから、基本的には適切な水蒸気の移動を考慮した寝間着や寝具を選ぶことこそが基本戦略となります。
水および水蒸気をほとんど通さないことに価値がある合羽、レインコートを着て寝るという実験によって、体熱と水蒸気の関係が確かめられるかもしれませんので、勇気がある方は是非…。
何着て寝るの?
以上のことから、年がら年中ハダカで眠るのは、案外理に適っていると言えるのかもしれません。でもちょっと秋から冬は寒すぎるよな、蒲団も冷たすぎるし…という場合には薄手でメッシュ素材の肌着を選ぶのが良いでしょう。
手触りなどの質感で素材を選び、温度調節で形態を選ぶことができます。
機能性を追求したインナー
10年ほど前までは、下着やインナーなどの機能面に注目が集まることは少なかったように思います。しかし、私たちの肌と直に接する下着やインナーに機能性を持たせることが、生活における様々な場面で有用であることが分かってきました。
着圧や肌ストレスが運動機能、精神機能に与える影響が徐々に明らかになっている…のかもしれません。
また逆に、かつて用いられ今では見捨てられた感のある衣服についても見直しが進んでいるように感じます。
やっぱり日本人なら、男子も女子もふんどしでしょ!?な流れが2014年ごろから巻き起こっているようです。
最適インナーはあなたにしかわからない
結局のところ、寝苦しさという極めてプライベートで個別的な悩みに対して絶対的な解決策は存在しません。あなた自身がその寝苦しさと素直に向き合い、あなたの身体が発する感覚を信じて実験を繰り返すことでしか、解決へ至ることはないでしょう。
身体はとっても賢くできています。私たちにできることは、その働きを阻害しないようにすることです。「めっちゃ暑い!」のなら、熱を逃す作用を邪魔する過剰な何かを除いてやる実験を考えてみましょう。
習慣を見直し実験的試みを始めるに当たり、当記事が何がしかの参考になれば。