思い込みの効果とプラセボ効果にまつわる誤解

プラセボ効果は思い込みの効果だ

という言明は少なくとも2通りに解釈できます。

  1. 思い込みで効いた
  2. 効いたのが思い込み

一方が恐らく正解で、他方はたぶん誤解です。

「恐らく」とか「たぶん」とか、随分自信なさげで申し訳ありません。

しかしもちろん、それにも理由があります。

思い込みで効いた

まず「プラセボが効くと思い込んだから効いた」という捉え方です。

プラセボ効果の実在を認める立場

この場合、プラセボにより実際に何らかの効果、すなわちプラセボ効果が実在し、その効果発現の理由や原因として「思い込み」を持ち出していることになります。

人が何か説明のつかない物事に出会った時、何かしらの理由を持ち出して論理的に納得することを試みます。

それは、客観的に正しい理由だけでなく、たとえ嘘や偽りや単なるこじ付けであっても、なにかしらそれっぽいものを持ち出してきて自分を納得させようとします。

説明のつかなさは、その説明不可能性ゆえ本能的に危険なものとみなされ、近くに置いておくことがストレスになるからです。

合理的と見做せる原因としての思い込み

プラセボ効果に関しても、そのホントのところの理由ははっきりとしませんが、「プラセボ効果は思い込みの効果だ」と言えばそれっぽく聞こえなんとか納得もできます。

この意味で「プラセボが効くと思い込んだから効いた」という解釈は正しいものと言えるでしょう。

思い込みの力、あると思います。

効いたのが思い込み

次に「プラセボが効いたって言うけど、それ効いたって思い込んでるだけだよ」という捉え方について考えてみましょう。

プラセボ効果の実在を認めない立場

この場合は先ほどの実在を認める立場と異なります。

プラセボによる実際の効果は何もなくただ効いたと思い込んでいるだけであって、本当は効いちゃないんだよと、プラセボ効果そのものの存在を否定しています。

しかしこれまでに得られた知見によれば、有効成分を含まないがために効かないはずとされるプラセボも、計測可能な形で何らかの身体的・精神的変化を人体に及ぼすことがわかっています。

プラセボ製薬の見解

つまり、プラセボ効果は存在していると考えるのが妥当であると言えます。

したがって、プラセボ効果そのものの存在を否定している「プラセボが効いたって言うけど、それ効いたって思い込んでるだけだよ」と言う解釈は誤解であると言えるでしょう。

…などと書くのは、当ブログがプラセボ製薬によって運営されているためです。プラセボ効果が実在することは、プラセボ製薬にとって商業的価値があるがゆえのポジショントークというわけです。

各個人がプラセボ効果についてどのような解釈をするのも自由です。ぜひご自身の考え方を明確にしてみてください。

プラセボ効果は本当に存在しているか?

説明不可能性に対処するため持ち出された(でっち上げられた)それっぽい理由は、至る所に存在しています。

「説明不可能性に対処するため持ち出された(でっち上げられた)それっぽい理由」を「仮説」と言い換えてみれば、そのことが見えやすくなるかもしれませんね。

プラセボに関するあらゆる言説も「仮説」に過ぎません。

原因不明、だからこそ

また分からないことを完全に分かるまで利用しないというのは現実的ではありません。

飛行機の重たい機体が浮き上がる現象は完全には説明がついているわけではないようですが、毎日毎時、世界中を飛び回り現代社会になくてはならない存在となっています。

プラセボ効果が現れる理由はよくわからないけれど、効果そのものはあると信じて有効に利用する方法を考えるのが得策であるように思います。

原因として持ち出された「思い込み」も、でっちあげられた一つの仮説に過ぎない。それでも、プラセボ効果の実在を認め、それを積極的に活用したいというのがプラセボ製薬の立場です。

社会的には完全に認められている

ちなみに、プラセボ効果の存在自体を否定する、というか疑問視している方もおられます。Wikipediaの編集合戦の参加者が有名なところでしょうか。

ただ、科学を重視する現代社会はプラセボ効果の存在を完全に認めています。

というのも先進各国の行政機関、および公的保健機関(WHO)が新規医薬品の承認要件として「プラセボ効果の存在を前提とした治験」を求めていることは、すなわちプラセボ効果に社会的公認を与えているのと同義だからです。

もし仮に厚生労働省や世界保健機関がプラセボ効果の存在を認めず、一方でプラセボ効果を見込んだ臨床試験を承認要件としているのだとすれば、その目的は「製薬会社いじめ」くらいしか考えられず、巡り巡って薬価という形で患者さん本人や保険者、被保険者へ金銭的負担を強いていることになってしまいます。

この不都合な想定を取り除くのは簡単で、厚労省もWHOも、あるいは世界各国の保健機関がプラセボ効果を認めていると考えるだけでよいでしょう。

プラセボによる不思議な現象がなぜ起こるのか完全には、いやほとんど理解されていません。

しかし、その存在は認められ、あるいは信じられ、既に医薬品の効果を判定する際には有効な使われ方をしているようです。

プラセボ製薬株式会社もまたこのプラセボ効果の存在を信じつつ、プラセボ効果だけではない偽薬の活用法を提供できればと考えています。