大人なのにカプセルがうまく飲み込めない方必見!偽薬トレーニング

カプセル剤の飲みづらさに悩みを抱える方は、案外多くいるようです。

大人だけど、飲めない

大人なのに、カプセル薬を飲めない…

成人なのに、どうしてもカプセル剤が喉に引っかかって上手く飲み込めない…

また超高齢化を反映して、こんなものも。

嚥下能力が低下気味のお年寄りで、以前はカプセルでもスッと飲めていたのに急に飲めなくなってしまった…

解決策は既に幾らも提示されていますが、ここではもう少し、プラセボ製薬らしくプラセボ(偽薬)的視点から考察してみましょう。

ちなみに本記事ではソフトカプセルではなく、一般的なハードカプセルの苦手克服法を対象としていますので悪しからず。

大人なのに、なのなのに?

まずはカプセルを一旦脇に置き、「大人なのに」、「成人なのに」から見てみましょうか。

こうした悩み方を一般に「なのに系」と呼ぶことにしましょう。

思い込みなのに

さて、「なのに系」の悩みはある種の論理構造を内包しています。

「なのに」という接続詞の前に置かれるのは、その人がもつ思い込みや常識だと考えている事柄です。

一方、接続詞「なのに」に後置されるのは、その人がもつ理想の姿・形の否定です。

そして実は、前者は後者を前提として含んでいるという構造になっています。

[○○(だから××であるはず)]なのに[××ではない]

[○○(だから××であるべき)]なのに[××でない]

こうした悩みを抱えたり感じたりした際にまず取り組むべきことは、前提としている(だから××であるはず)や(だから××であるべき)という思い込みや常識が本当に正しいのか問うてみることです

さらに、そうした思い込みを捨て去るにはどうすればいいか考えることに尽きます。

本記事の事例に即して言えば、「本当に、オトナならばカプセル剤をうまく飲み込めるはずなのか?」を真剣に考えてみましょう。

学習された不信感

乳児や幼児など小さな子供は、手近にあって口の中に入りそうな大きさのものを何でも食べようとして親を慌てさせる時期があります。

これはトライアンドエラーで学習の機会を存分に活かしてその後の人生を豊かにしようとする行為ではないかと考えられますが、この時、恐らくはカプセル剤を飲み込むことはなかったはず。

食べられるもの、食べられないものを選り分けるには、一度味わってみるに限ります。乳幼児期に味わう機会がなかったものは口にすべきではない、と脳はしっかり学習します。

だとすれば、このなんでもかんでもの学習機会を過ぎた後に目につくものは、とりあえず食べることのできない「不審物フォルダ」に入れてしまうと考えてよいのではないでしょうか?

不審物は飲み込まないのが正解

カプセルの形状や質感をよくよく見ればなんとなくプラスチックのようにも見えますし、自然でいびつな形とは言い難い極めて人工的な形をしています。

もちろん知識としてカプセルは飲み込んでよいもの、身体に害のないものと知っていたとしても、心の奥底、無意識の領域ではそうはいきません。

不審で不可思議で危険だ!

そうした無意識の毒物警戒シグナルをビービ―かき鳴らし、喉を閉めて体内への不審物の侵入を防ぐことで我々は生き延びてきました。

カプセルを飲み込もうとして舌の上に残ったり、喉に引っかかったりするのは、飲み込むのがヘタクソだからではありません。

そうではなく、本能的に飲み込んではまずいものだと脳が判断し、的確に排除すべく身体が反応しただけに過ぎないのです。

従って、「本当に、オトナならばカプセル剤をうまく飲み込めるはずなのか?」という問いには、「いや、まったくそんなことはない」が正しい答えになるのではないかと。

ビー玉は飲み込めない

このことは、カプセル剤をちゃんとしっかりとすっと飲み込める人でも、ガラス製のビー玉を飲み込めと言われれば上手く飲み込めなくなることを考えてみれば分かりやすいのではないでしょうか。

普段食物を喉に通す時、ビー玉以上の大きさの食隗がやすやすと通り抜けていくにもかかわらず、ビー玉そのものは飲み込むことが(普通は)できません。

もっと小さなBB弾(エアガンなどに装てんできるプラスチック製の弾)でも、同じように上手く飲み込むことができないのではないでしょうか。

カプセル剤その他が不審物であるという思いは、たとえそれが思い込みであったとしても我々を守ってくれる進化の賜物として否定すべきではありません。

現代社会は生涯学習を求める

しかし、私たち人間が進化の過程で獲得した乳幼児期の食事学習システムは太古の原始時代に最適化され、現代の生活とはマッチしません。

子どもの頃に食べたものを成長の過程でずっと食べ続け、30年程度の寿命を全うするという生活を送るわけではないのです。

大人になってから初めて接する食品だってたくさんあるはず。

「みんなが平気で食べているから」という社会的証明を頼りに、恐る恐る口にして新規で珍奇な食物に慣れ親しんでいく再学習ができるくらい、私たちの頭は柔らかくできているようです。

カプセル剤もまた、ある程度成長した後に初めて口にするものであり、これを上手く飲み込むには再学習が必要となるでしょう。

他の人にはできている問題

また、「大人ならばカプセル剤をうまく飲み込めるはずだ」という見当は思い込みと断ずるには少々難点がありました。

というのも、多くの大人は医薬品に限らずサプリメントや健康食品のカプセルを難なく飲み込んでいるように思われるからです。

悩みの本質は「なぜか、自分だけが上手く飲み込めないという気がする…」というところにあるのでしょう。

ここから先は、カプセルが上手く飲めない悩みの根本的解決法を探ってみましょう。

飲めないものは、飲まない

根本的解決策、その1。

カプセル剤を上手く飲み込めないのなら、カプセルとは一生縁を切り、飲まないと決めてしまう。

とても簡単な解決策ですね。

現代人は大きな自己決定権を有しています。自分の人生に自ら責任を負う覚悟さえあれば、カプセル剤なんかとは縁を切ってしまうという抜本的な改革も断行できます。

飲めないのだから、のまない。

このシンプルな解決策をまずは試みられてはいかがでしょうか。

剤型の変更

サプリメントや健康食品の類ならいざ知らず、医薬品であれば服薬の利便性に適う剤型の選択ができる余地があるかもしれません。

同一薬効成分を含む錠剤に変更したり、粉薬・顆粒剤や液剤としたり。

もちろん、カプセル自体に特殊な条件での溶解性を付されていたりすると変更の利かない場合もままありますが、できるだけカプセルを避けるという方法で問題解決を図るのもよいでしょう。

逃げるは恥だが役に立つ、というわけです。

飲めるように、再学習

根本的解決策、その2。

カプセル剤を上手く飲めるようになる。

これで問題は解決してしまいます。

実は「大人なのに」というなのに系の悩みには、先ほど挙げた「恥」の感覚が滲む場合もあります。

本来はカプセルを上手く飲み込めないことに羞恥心を感じる必要など微塵もないはずですが、みんなができていることを自分だけができないという事実は社会的動物である私やあなたを辱めるのに十分なようです。

だったら、飲み込める人になってしまえ。

はて、その方法がないから困っていたのだが…?

いえ、偽薬(ぎやく)を使って練習すればそれが可能かもしれません。

偽薬の活用

偽薬とは無論、薬効成分や有効成分を含まないクスリのニセモノのこと。プラセボやプラセボとも呼ばれますね。

ここでは、カプセル剤の偽薬としてカラのカプセルを想定しておきましょう。こうした空のカプセル殻はAmazon.co.jpで手軽に入手できます。

空カプセルの色

空のカプセルと言っても色々と取り揃えられており、透明の物

白いもの

色つきの物

色に関して大きく分けるとこの3つでしょうか。

オススメは「ホワイト」もしくは「色つき」です。

空カプセルの素材

全部を確かめたわけではありませんので、あくまで参考という意味での情報提供となりますが、カプセルの素材は以下のように纏められるようです。

  • 透明→ゼラチン(※)
  • 白色→セルロース

ちなみに「ゼラチン」はコラーゲンから抽出されたタンパク質で、お菓子づくり、特にゼリーを固める際などに用いられます。

また「セルロース」は化学構造的には炭水化物(多糖類)にあたるもので、一般的には「食物繊維」と呼ばれています。

当然のことながら、どちらも食物由来の成分を加工して成形したものが空カプセルとして販売されているということになります。

脳みそはその見た目から「不審であり、不信である」と警報を鳴らすかもしれませんが、こうした食物由来であることをきっちりと理解することから練習を始めましょう。

※透明の物の中には「コーンカプセル」という植物由来成分製のものもあります。これは「ゼラチン」ではなく「デンプン」由来の成分のようですが、もちろん食品素材として食べても害のないものです。

空カプセルの大きさ

また大きさもバリエーションが豊富に用意されています。「ホワイト」のものを小さい方から順に並べてみましょう(※最大の「000号」は透明カプセル)。

数字が小さいほど、カプセルは大きくなるという号数指定がなされています。

カプセルが全然飲めないという方は、小さい5号品をつかって練習されるのが良いのではないでしょうか。子供さんの場合には1号まで飲めれば通常の医薬品で困ることはありません。

アマゾンで商品一覧を確認したい方は、以下のいずれか、もしくは両方が参考になるでしょう。

実際の練習法

さて、練習用の空のカプセルを手に入れたら早速練習を始め、脳の再学習機構を働かせましょう。

基本方針は、慣れる。これだけです。

舐める

まずは空のカプセルを手に取り弄び、視覚情報として脳に叩き込みましょう。

匂いも嗅いでおきましょうか。

あとは、おもむろに口の中に放り込み、アメ玉のようになめまわしてみましょう。

ゼラチン製の透明カプセルとセルロース製の白色カプセルを両方購入し、その違いを楽しむのも良いかもしれません。

とにかく、口の中に入れても良いのだという慣れを脳内学習しましょう。

お勉強が身についている人は何かを覚えたり計算したりといった能動的な行為を「学習」と考えるかもしれませんが、実際のところ私たちの生活にとってより重要で本質的な事柄はこうした受動的な「慣れ」によって獲得されます。

カプセル剤でも、それは同じこと。

慣れるまで、舐める。

これを実践してみましょう。毎日継続しましょう。慣れは早ければ当日、遅くとも数日~数週間のうちに得られるかと。

噛む

舐めるのに慣れたり、飽きたりしてきたら、今度は噛んでみましょう。

基本的に無味の物はマズイと感じられてしまうのですが、これはもうしょうがないと諦めてください。

噛みましょう。

噛み砕きましょう。

噛み砕いたら、飲み込みましょう。お菓子の如く。

小さな成功体験を重ねることは、実際に飲み込めるようになるための大きな一歩です。

そのまま飲む

カプセルそのものを舐め慣れ、噛み砕いたら飲める状態になれば、あとそのまま噛まずに水だけでゴクリ飲み干せるかもしれません。

おめでとうございます。さよなら、またいつかお会いしましょう。

まだ水だけで飲むのが難しいようなら、服薬ゼリーで潤滑性を付加してスルリ飲み干せるようにしてみましょう。

カプセルを埋め込んでしまうほどゼリーをたっぷり使うと良いようです。

飲み干す

さて、いかがでしょうか。うまく飲むことはできましたか。

まだできない?

とすれば、カプセルを上手く飲み干すためだけに発明された商品『おくすりこくり』を頼ってみましょう。

この商品はおくすり一気飲み仕様の「おくすりポケット」が付いていますので、そこにまずは服薬ゼリーを載せ、カラのカプセルを置き、再度ゼリーでサンドイッチ。

あとは水と一緒にスルリ飲み干すだけ、という簡単設計。

お薬が上手く飲み込めなくなった高齢者さんにも使いやすいようにできていますが、嚥下能力が低下するお年寄りの場合には無理は禁物です。

カプセルは気から

いかがでしたでしょうか。

カプセルを上手く飲み込むことは、実は普通に当然に出来ることではありません。子どもに限らず、オトナにだって難しいことなのです。

この困難を精神論や道具を使った技巧的な手法で超えることはもちろん可能でしょうが、それよりもまず取り組むべきは気持ちの問題のはず。

だって、不審物を飲み込まない、飲み込めないのは本能的なリスク回避の手段なのだから。

カプセルを巧く飲むには、それを飲み込めるものだ、飲み込んでよいものだと思い込めるように自らを仕向ける脳の再学習が必要だったのです。

偽薬を使えば、それができるはず。

良きカプセルライフを、偽薬と共に。