「百ます計算」が流行したのも今は昔。しかし、過去の実践者としてこれだけは言えます。
マス埋め中の集中してる感は、他のどんな作業よりも強力だった。
フロー状態を生み出す集中
百ます計算は一日にして成らず。数日、数週間、数か月の反復により、目に見えて作業効率が向上します。
自分でも驚くほどに。
それが他分野においても集中力と呼ばれる能力を向上させたかは判然としませんが、マス埋め中のフロー状態が心地よいものであったことは間違いありません。
フロー感覚
フロー状態になった時、人は何を感じるか。
- 計算している感が希薄になり、マス埋めしている感が強まる
- 2つの数字の組合せから、マスに書くべき数字が反射的に思い浮かんでくる
- 反射的計算よりも、マス埋めする動作が記録向上のネックになる
- 視点の移動が極めて少なくかつ俊敏になる
- 「いくぜ!」の気合なくしては記録が伸びなくなる
- タイム成績の悪い日は、作業中に集中できてないことが自覚される
フロー状態を経験するためだけにでも、百ます計算を実施する利点はあると思います。小学生だけでなく、中学、高校、大学にいる学生さんや、社会人にとっても良い経験となると思いますよ!
百ます計算をやってみよう
Googleなどの検索エンジンで「百ます計算」あるいは「100マス計算」と検索すれば、すぐに印刷用の計算プリントが見つかると思います。まずはそれらで練習してみるのも良いでしょう。
製本版を手に入れる
1ヶ月程度力を入れて継続的に実施される場合には、しっかりと製本されたものを用いるのが良いかもしれません。
百ます計算と言っても色々とありますが、フロー状態を実感するためであれば一番簡単な1桁の足し算バージョンを用いるのが良いでしょう。
また継続的に記録を採ることも重要ですので、そういった意味でもしっかりと製本されたものを用いるのがお勧めです。
継続的な練習
練習用のシートか本を手に入れたら1日1回ずつでも百ます計算を行い、記録を採り続けます。きっとはじめてすぐに記録は伸びてゆくでしょう。
そしていつしか、反射的に計算を行い頭の働きに手の動きが追い付かない状態になると思います。
それがフロー状態です。
これまでに感じたことの無い感覚が心地よい知的疲労と達成感をもたらしてくれるでしょう。
始めた頃と比べて圧倒的に短い時間で埋めきった100マスを見て感動さえするかもしれません。
さらなる高みを目指して
「風の向こう側」という表現はご存知でしょうか?
向こうの世界
2006年にTVドラマ化された原秀則先生のボート漫画『レガッタ』(2001-2004:週刊ヤングサンデー連載)において用いられ、コブクロのドラマ主題歌『君という名の翼』でも引用されたのがこの「風の向こう側」という表現です。
それは超音速旅客機における「音速の壁」と似た、壁を越えた先の高みへ達した状態のことを指します。
「風の向こう側」では、漕ぐオールがとても軽く感じられ、スピードのロスが限りなく小さく、滑るようにボートが進む…そんな状態です。
一種のフロー状態と言えるでしょう。
プラセボ効果をあなたに
偽薬(プラセボ)は百ます計算の記録が頭打ちとなったあなたを「マスの向こう側」へと誘ってくれるかもしれません。
プラセボには、集中力を高めるいかなる成分も含まれていません。
百ます計算とプラセボ効果
もし、プラセボを飲んだ後のほうが百ます計算の成績が良いとすれば、それは純粋なプラセボ効果と言えるでしょう。
実際に記録が伸びたのであれば、それは疑いようがありません。
百ます計算を続けていれば必ず記録が高止まりする時期が訪れます。もうこれ以上伸びないだろうな、と思われるかもしれません。
そんな時、プラセボ効果のことを少し思い出してみてください。
もしかするとあなたが設けた限界は、プラセボで簡単に突破できるかもしれません。
あなたが行き着いた先は、「マスの向こう側」と呼ばれる高みです。
どうぞお越しやす。
おまけ:個人的フロー体験
筆者が実際に百ます計算を行っていたのは、大学浪人中でした。
100マス≒1分
その頃は百ますを埋めるのに1分程度かかり、60秒を切ればそこそこ集中してる感が得られたものと記憶しております。
もちろんフロー状態を得る成績には個人差があると思いますので、ご参考まで。
ゲームが生み出すフロー体験
また今は亡きワンダースワンの『グンペイ』においてもフロー状態を体験しましたし、『ぷよぷよ』の対人対戦においてもフロー状態を体験したことがあります。
すっと心が静かになり、作業の正確性が格段に上がった状態と言えば何となく分かっていただけるでしょうか。
フロー状態はとても個人的な体験です。「本当にそんなことってあるの?」と思われるなら、是非一度百ます計算に取り組まれてみては如何でしょうか?