長時間睡眠は人生の無駄づかい?
睡眠に関する悩みの一つに「睡眠時間が長すぎて他の活動に時間を取れず、時間を、ひいては人生を無駄にしている感が強い」というものがあります。
逆に眠れなくて悩む不眠症の人もたくさんいますので、眠気のやり取り(あげたり、もらったり)が出来ればこれ、世界から悩みが2つ同時に消えて我々の人生はより輝かしいものとなるでしょう
眠気銀行
こうした悩みを弁証法的に解消する「眠気銀行」なんてアイデアも既にあるみたいです。
過剰な眠気を有する人は預金ならぬ預眠気を行い、眠気が足りず寝つきの悪い人は預眠気を引出して…でも、これだと一方的な関係になってしまいそう。眠気と対になる価値として覚醒気配をやり取りできるようになるのかどうなのか。
睡眠時間平均化の試みは、フィクショナルな世界で検討されています。
進化的な優位性?
しかし、睡眠時間の長短がヒトという生物種の多様性を担保しているのかもしれず、実際のところ不眠の人や短眠者と長眠者がいることが何かしら進化に有利なのかもしれません。
- 短眠者:ショートスリーパー
- 長眠者:ロングスリーパー
集団全員が暗闇で深い眠りにつくと、外敵の侵入を察知するのが困難になります。
眠気を分散させておけば周囲への警戒を途切れさせる可能性が減少して集団全体の生存率が向上し、反対にそうしなかった・できなかった一群は進化の過程で淘汰されただろうとする説もあります。
私たちは短眠者と長眠者のベストミックスなグループでこの厳しい世界を生き抜いてきたのだ、と。
ただ、それでも。
ロングスリーパーや朝方低血圧の方が人生を有意義にするための、二度寝・寝坊防止策があるとしたら。
病気としての長眠・過眠
起きあがることの難しい様態、長く眠り過ぎてしまう病気があります。
睡眠覚醒障害
過眠症やナルコレプシー(眠り病)などの病的な睡眠覚醒障害に関しては、医療機関への受診が推奨されています。
残念ながら当記事では器質的・遺伝的な睡眠障害に関するいかなる対処・改善法をも示すことができません。悪しからず。
低血圧症
朝方、布団から起き出せないことの理由に低血圧が持ち出されることがあります。
器質性や薬剤誘発性の低血圧症の方の場合には、専門的な医療措置が必要な場合があります。この場合にも当記事は解決策を提示することができません。悪しからず。
二度寝は快感
さて、二度寝が止め難いのは、二度寝そのものが快感でもあるからでしょう。
快楽に溺れよう!
「あと5分…」の微睡(まどろみ)が何にも勝るリラクゼーションだという人もいるのでは?
二度寝すると非常に気持ちいいという報告があるが、富山大学の石原教授などによる二度寝のメカニズムは、「浅い睡眠状態であり、聴覚などが浅く遮断される。その結果、身体が浮き上がるような快感を得ることができる。」との研究がある。
『二度寝 – Wikipedia』
座っている時に眠くなって頭がカクンと落ちる感じや、「舟を漕ぐ」と表現されるように、本人にその気はなくても何度も何度も頭を上げ下げしたりする感じが布団の中で、全身で起こって浮遊的快感につながる…のかもしれません。
快楽を手放すな!
現時点で二度寝が気持ちよくって止められないのなら、強いて止める必要はないのではないでしょうか?
いつか「もっと寝たい!」と思っても全然寝付けなくなる日も来るかもしれませんので、今得られる快感に酔いしれるのも悪くありません。
二度寝を防ぐテクニカルな手法
それでももし、「遅刻は許されない」とか「二度寝しても時間を無駄にする上に身体もだるい」など、社会生活を営む上で解決したい悩みを抱えているのなら、二度寝や寝坊を防ぐためのいくつかの処方箋が示されています。
意志力による二度寝防止策
- ガバッと一気に跳ね起きる
- 複数の目覚まし時計を掛ける
- 手の届かないところに目覚ましを置く
- 寝起きにすることを想像してみる
- カーテンを開けたまま寝る
- 目覚めたら布団の中でストレッチ
- 手元に水を置いておき、目覚めたら飲む
ただし、二度寝してしまうことで悩んでいる方の多くはこれらのことを実践した上で悩んでいるのではないでしょうか?
意志力を無効にする快楽
このようなことになってしまうのは、上記の二度寝対策が意志を介した寝起き対策になっているからかもしれません。
昨晩の確固とした意志を持つあなたは、翌朝の意志薄弱なあなたに何をも言い置くことができません。
意志には実体がないからです。
意志や期待にカタチを与えるもの
神経生物学の進展は、プラセボ効果のメカニズムに自然科学のメスで迫ろうとしています。
それは「期待」や「学習(条件付け)」と言った心理学的な言葉に神経生物学的な裏付けを与える試みと言っても良いかもしれません。
プラセボという形あるもの
プラセボ(偽薬)は、あなたの「意志」や「期待」にカタチを与えることができます。
そう念じ込んだプラセボを枕元に置いてみましょう。
それは夜を越えて、あなたの意志を現実世界へ留め置いてくれます。
ドリーミーな世界から還ってきたあなたが手にするのは、昨晩あなたが託した強固な意志そのものです。
意志ごと、プラセボを飲み込んでしまいましょう。
もちろんプラセボは覚せい剤ではありませんので、若干の糖分はあるにせよ、二度寝・寝坊を防ぐ成分や覚醒を積極的に促す成分を含みません。
もしプラセボにより二度寝をやめることができたのなら、それは正にプラセボ効果であると言えるでしょう。
科学が全ての悩みを解決してくれる訳はありません。神経生物学の最先端では、儀式、おまじないなどの非科学的なモノでも有効な場合があることさえ認められつつあります。
意志の見える化、行為化
繰り返しになりますが、「○○しよう!」という脳内決定は簡単に覆されてしまいます。
失礼な話しながら、常人であるあなたの意志持続性の無さを侮ってはいけません。
なんとなくの自己決定は、数時間でさえもたないものです。
書き記すなど積極的に見える化するか、あるいは実際の行動を起こすことによって行為化してしまいましょう。
プラセボがその助けとなれば、これ以上嬉しいことはありません。