医薬品と言えば大半は錠剤、またサプリメントにもさまざまな大きさ・色のタブレットがあります。
コップ一杯の水さえあればコクリ、スルリと飲めてしまう人なら問題はありませんが、錠剤が舌の上に残ってしまい、文字通り「苦い思い」をしてしまった人も多いようです。
良薬は口に苦し、と言えど
製剤の工夫
「良薬は口に苦し」とよく聞かれますが、最近では医薬品利用者さんの利便性や服薬規定を遵守させる計らいから、矯味・矯臭を念頭においた製剤設計がなされることも多くなりました。
口に苦いから良い薬のはず…と思っても、中々飲みたいと思うようにはならず、結局味が原因で飲まれなくなってしまっては医薬品の意味がなくなってしまうためです。
- つるっとした外観の糖衣錠
- 普通の錠剤に見えて実は矯味コーティングが施されたフィルムコーティング錠
「飲みやすさ」を向上させる製剤技術の開発は現在進行形で進められています。
もちろん、古くから親しまれている薬の中には、独特のにおいが薬効を担うのだという発想もあり、商品レパートリーとして残されている場合があります。
飲み込むことの困難
とは言え、それら技術は現段階では補助的な役割を担うに過ぎません。
薬を飲み込むことが苦手な方にとっては製剤の特徴などあまり関係なく、舌の上に残ってしまう不快感を解消できていない場合があります。
残念ながら、医薬品そのものに対する製剤的な工夫にも限界があります。
錠剤は、一応のところ、飲みやすさやコストや物流面での利点から最も採用されやすい製剤となっていますが、破壊的なイノベーションが現在の服薬法を根底から覆すとは考えにくく、飲み込みにくさは別方面から解消されるべき問題となっています。
ハンドリングを犠牲に、小さく丸く
もちろん錠剤そのものを小さくしたり、丸くしたりして喉の通りを良くするという工夫が考えられなくもなく、実際にそのような製剤を見かけることもあります。
しかしながらそうした工夫も「つかみやすさ、扱いやすさ」などの視点から見れば決して優れたものではなく、包装から取り出して手に取る際に落としたりして難儀するなどは高齢者あるある話となっています。
さて、この問題にどのようにアプローチすれば解決へ近づけるのでしょうか?
コップからのアプローチ、コップローチ
錠剤そのもの、玉薬そのものからのアプローチが難しいのであれば、補助具としてのコップ、カップを改良しようとしたのが、ここで紹介する『おくすりこくり』です。
おくすりこくり
取っ手の付いたカップに、何やら内蓋がくっ付いています。実はこれ、下の写真のように薬を配置し、水と一緒に飲み込めるよう設計された服薬専用カップなのです。
何が良いかと言いますと、商品名が示す通り、おくすりをこくりと飲めてしまうように設計されたものであるという点。
「水を飲みながら、上手く錠剤を飲み込む」と過剰な意識が結果的に錠剤を舌の上に残らせている、とお気付きの方もおられたかもしれません。「でも、どうすればいいのかが分からない」、と。
『おくすりこくり』が提示する回答は、「とにかく、水だけ飲むことを意識してみようや」です。
簡単でしょ?
無意識領域は変えられない
私たちが普段実行している「食べる」や「飲み込む」と言った動作は、改めて考えてみると複雑な口腔内連係プレーが実行された結果だとわかります。
「噛む」ときは舌の動きを意識しながら「噛んで」いるでしょうか?
「飲み込む」量をうまく調節するよう、舌を小刻みに動かしていることに気付いているでしょうか?
そうしたことは意識せずとも、本能的に、無意識的に実行できてしまいます。
ところが逆に、薬を飲み込む場面などで一旦意識して舌を動かしてみようとすると、全然うまくいかずに錠剤が舌の上に残ってしまいます。
私たちの精神には広大な無意識領域が広がっているとフロイト先生は喝破しましたが、まさにその通り。日常的な無意識の動作を意識的に動かすことは、非常に難しいものなのでした。
では、どうするか?
逆説的ではありますが、『「意識しない」をする』というある意味ではネガティブな解決策が提案できるでしょう。出来ないことはしないで良いのだ。無意識の仕事は無意識に任せておけ、という訳です。
『おくすりこくり』が提示するのも、意識行動の無意識化と言えるでしょう。
服薬カップとしての工夫
『おくすりこくり』は服薬を補助する機能を備えたプラスチックカップですが、その利点を活かす更なる工夫が加えられています。
例えば、「受け皿」。
通常はフタとして機能するこのお皿が、ひっくり返せばたちまちのうちに薬の受け皿となってくれます。
お年寄りで多数の医薬品を飲んでいる場合などには、苦労の連続です。
- 包装から取り出すのも一仕事
- 取り落とさずに口に含むのも一仕事
- 水で飲むのも一仕事
- いやそもそもどの薬を飲むのか覚えておくだけで重労働
多方面へ注意を向けて失敗なきよう取り計らうのも若い内には楽々できましょうが、老人の手に余る諸動作は、やはり何とか改善の工夫を施したいもの。
受け皿のあるとないとでは、精神・身体の両面で負担が違ってくるでしょう。
『おくすりこくり』の細かな配慮は、使ってみると納得の「服薬専用」仕様となっています。気になる方はAmazon等でチェックしてみてください。
プラセボ(偽薬)とともに
当ウェブサイトを運営しているプラセボ製薬では、ご家庭でも気軽に使えるプラセボ(偽薬)を販売しています。
偽薬と言ってもあやしいものではなく、食品成分を錠剤状に固めて作った単なる食品。薬効成分等は一切含まないものです。
認知症高齢者などの医薬品の飲み過ぎ・飲みたがりなどに適切に対応するために介護ご家族様などにお使いいただいていますが、もちろん薬を飲み込む練習用としても使えます。
『おくすりこくり』とプラセボ製薬の「プラセプラス」。
少し甘い「プラセプラス」なら、失敗してベロの先やのどの奥に引っかかっても、あまり苦しい思いをしなくて済む…はず。
二つ合わせて、最適な練習環境を。