あがり症の悩みがつらいのは、人生のどんな場面でもそれが現れてしまうことにあります。
緊張しない人なんていません。特に誰かの目を意識せざるを得ない状況では、その緊張は弥が上にも高まってしまいます。
んなこと、できたら苦労しませんぜ…。
あがり症は“症”である
緊張しない人なんていませんが、その緊張のせいで社会生活に困る場合、そしてそれをどうにかしようとしても自分ではどうにもならない場合、それはあがり症と呼ばれます。
適度な緊張感は良好な結果の助けとなることがありますが、過度の緊張はその時自分が持つパフォーマンスを最大限発揮できなくなるだけでなく、緊張する状況そのものを嫌ってしまうという弊害があります。
と。
あがり症が“症”たる由縁は、自分のことなのに自分の意志では自分をコントロールできなくなることにあります。そしてこの“症”の困難を一層高めているのは、経験を積んで克服するしかないのに、その経験を積む練習の場がないことでしょう。
どうしてあがってしまう?語源に探る原因
克服の練習をする前に、あがり症状が現れる原因を考えてみましょう。
「あがる」も元々は「頭に血があがる・のぼる」と言っていたのが省略された言葉のようです。つまり、のぼせて平常心を失った軽いパニック状態を「あがる」と言います。
ならばどうして頭に血が上ってしまうのでしょうか?
自律神経系と血液循環
体内の血の巡りは、自律神経系と呼ばれる体の機能によって無意識下で制御されています。
カラダの血の巡りには大きく分けて2つの部分があります。
- 内:消化器系の内臓
- 外:皮膚・筋肉
普段はこれらの2つの部位を時間や、食事・運動などの行動に沿って自律神経が適切に配分、調整することで私たちの生命活動が成り立っています。
原始時代に適応したヒトの身体
少し専門的な事柄になりますが、実は私たちの脳は外胚葉由来、つまり皮膚などの組織と同じ発生のルーツをもつ器官であることが知られています。
緊張を強いられる場面に出くわすとヒトの身体は「闘争・逃走状態」と呼ばれる臨戦状態へ移行することが知られています。
この時、血の巡りは内から外へと一気に変化し、消化器官にめぐっていた温かな血液が皮膚へ、筋肉へ、そして脳へと大量に流入します。
進化の過程で我々の祖先が数百万年を過ごした原始の時代において、緊張を強いられる場面とは敵性動物との遭遇に他なりません。
そこでは戦うか、逃げるか、いずれにせよ身体を動かさなければ死んでしまうような状況でした。
死にたくなければ、考える前に動かなければならなかったのです。
現代生活とあがり症
しかし、現代は違います。
緊張が発生するまさにその場にとどまりながら、頭を冷静に保って思考を続けなければならない状況が生まれたのです。
つまり、あがり症の原因は進化によって獲得された「闘争・逃走状態」への移行が、現代的状況とそぐわなくなってしまったことにあります。
では、これを克服するにはどうしたらよいのでしょうか?
緊張を別のコトに置き換えてみる
ヒトはどのような状況にも、ある程度は慣れてしまえる高い適応性を持っています。
緊張もまた、慣れが可能な状態です。
筋トレで血を動かす
ただ、いきなり人前で何かをする状況を作りだすことは難しいため、緊張状態を身体の外側へ血が巡る「闘争・逃走状態」に置き換えてみましょう。
- 短距離走
- 腕立て伏せ
- 腹筋運動
- スクワット
上記のような筋力トレーニングを実施し、短時間で息が切れて、体が熱くなり、汗をかく状況を作ります。血の巡りを消化器官から外へ向かわせるためです。
脳トレで思考を動かす
このとき、同時に頭を使う作業を行ってみてください。何だって構いません。
- 計算ドリル
- 脳トレ用のゲーム
- スマホ・ゲーム
脳を酷使するような作業を実施してみましょう。
自分のカラダが「闘争・逃走状態」になっても思考を止めない練習を重ねる。少しずつでも実践すれば、きっと「闘争・逃走状態」での思考に慣れることができますよ!
また、緊張状態をリアルに想像する力のある方には以下の方法をお勧めします。
想像力を味方につけて
あなたの緊張は、リアルな未来を思い浮かべることができる、些か豊かすぎる想像力(妄想力?)の結果かもしれません。あがり症の克服にこの豊かな想像力を使わない手はないでしょう。
上手くいっている場面を想像する
簡単な自己紹介(30秒~1分程度)などの緊張を強いる動作を大勢の人前で難なくこなしている場面を想像してください。できれば、自分目線&他人目線の2パターンで。しかも、継続的に。
そんなことしたことない?
いや、あなたならできるはず。まだ見ぬ未来を思い描くだけで身体を臨戦態勢、緊張状態に持ち込めるほどの想像力を持つあなたなら、これくらいのことはできるはずだと信じてください。
練習の時から声を出して姿勢を良くしていれば、より良い結果が得られるかもしれませんね!
プラセボを利用してみる
自律神経系による血の巡りの調節は、無意識や潜在意識によって動かされてしまいます。
もちろん上で説明したように、進化的に適切に調節されてしまうため、現代の状況には合わなくなっているのもまた事実。
ココロの奥の心理作用をきっかけとした自律神経の働きを意志でどうにかすることは出来ません。しかし、あなたにとって敵性の好ましくない状況は単なる思い込みの可能性も高いのです。
敵性 → 適正
思い込みの力は、思いのほか大きいものです。思い込みに対抗できる手段はそれほど多くありません。
目には目を、歯には歯を。
思い込みには、思い込みを。
あなたの状況判断は、何らかのきっかけで適正なものに変えることができるかもしれません。もしかすると偽薬(プラセボ)で…?
偽薬には、あがり症を治しうる何らの有効成分も含みません。もし何らかの改善が見られたならば、それはプラセボ効果でしかないでしょう。
しかし、思い込み効果、気休め効果たるプラセボ効果を実践的に応用して住みよい世界に変える努力は、あなた自身の身体を信じることに繋がると言う点で今、注目されはじめています。
とにかく実験的精神をもって行動を起こしてみることからしか、何かを変えることはできません。
あがり症の悩みもまた、あなた次第で変えられるものの一つです。
プラセボを飲め。背筋を伸ばせ。目の前のやつらはみんなジャガイモだ、恐くない。
お役立ち(?)アイテム
パルス(微弱電流)で手のひらを刺激して、興奮や緊張、ストレスとうまくお付き合いするための商品が販売されています。
カスタマーレビュー等をご参照の上、自己責任でお試しあれ。
震えないために、パルスを身につける。その発想に賭けてみる価値はあるのではないでしょうか。